明石工業高等専門学校「創発ゼミナール『インテリジェント電動車いすの開発』」の講義に協力しました!

 

20161019日、明石工業高等専門学校・専攻科の講義「創発ゼミナール『インテリジェント電動車いすの開発』」に、石田真愛がアドバイザーとして参加しました。

 

講義の目的は、既存の電動車いすを前提として、高専学生の専門分野であるコンピュータ機能やソフトウェア等を搭載し、今後の社会にさらに必要とされるニーズの開発(企画・試作・評価・発表)を目的としています。

 

専攻科の学生のほとんどは、既存の電動車いすがどのような機能を有しているかも明確ではなかったのですが、より理解を深めるために手動車いすと電動車いすの2台を持参し、実際に乗り比べて操作してもらいました。

 

疑似体験後、講義室においてディスカッションをし、段差の高さをセンサーで検知し乗り越えられるようなソフトウェアの開発など、最新のICT技術で解決できる問題点を共有しました。と共に、ブレーキを付けるなどアナログな仕様について、開発の余地があることにも気付かされました。

 

12月には、試作・発表を行い、以下の2つの提案がなされました。

 

A班…「指定色自動追跡システム搭載車いす」

現在の車いすの主流は、自走型・ハンドル型・ジョイスティック型で、これらの共通点は利き手を使って操作することです。走行中に、飲み物を飲んだりパンフレットを見たりなど、手を使った動作をする際、その都度車いすを停止させなければなりません。そこで、車いすに赤い色に対して自動追跡する機能を搭載することで、車いすユーザーだけでなく、介助者が車いすユーザーを前方で先導する形も可能な、あらゆる場面で快適に行動可能なシステムの構築を目指しました。

課題としては、追跡対象以外の赤いものに反応してしまう可能性があり、複数の色や複雑な図形を組み合わせたものを認識できるようにすることで、対象を正確に把握・追跡するよう精度を高めることが求められます。また、車いすが追跡対象を見失った際、素早く対象を探し自動追跡を再開できるプログラムの改善も必要です。

 

B班…「歩きスマホの操作など、前方で立ち止まっている人との衝突回避」

歩行者にとって、車いすユーザーは背丈が低いことで視覚的に認識しづらいだけでなく、歩行者のような足音がないため、接近していても気付きにくいという現状があります。実際、車いすユーザーと歩行者の接触リスクは、歩行者同士より高いことがうかがえます。今回は、スマートフォンの操作に夢中になり、車いすユーザーが後方にいることに気付かず、急に前方で立ち止まるような場面の衝突回避を想定し開発を進めました。

前方に人を確認した場合、車いすが自動で回避方向を選択し、衝突回避や適切な経路方向に復帰(旋回・直進)するなどのプログラムを組みました。

課題は、障害物が人であるか、また仮に人であるとしてスマホを操作しているかどうかを判断できるかですが、相当量の画像学習を行うことで可能となることが示唆されます。また、倫理的な課題はあるとして、車いすからスマホの利用者側に危険を知らせるアラートなど発信・搭載する方法も一案として挙げられました。

 

 (アドバイザー) 石田真愛

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